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2026/10/14 21:49
2. 保持性能の鍵を握る「エラスティックトラベル」
では、ビンディングの優れた保持性能は、どのように生まれるのでしょうか?
その鍵となるのが、「エラスティックトラベル(弾性可動域)」 です。
エラスティックトラベルとは、滑走中に衝撃が加わった際、ビンディングがブーツを保持したまま左右や上下方向に動き、元の位置に戻ることができる可動範囲を指します。
例えば、荒れた雪面での振動、ターン中の強い荷重、雪面の凹凸による衝撃など。
こうした力が加わったとき、ビンディングがすぐに解放するのではなく、一時的に動いて衝撃に対応し、ブーツを元の位置へ戻すことが重要です。
エラスティックトラベルが小さい場合
衝撃を受けた際にビンディングが十分に動けず、瞬間的に大きな負荷が発生します。
その結果、不意の解放が起きたり、衝撃が脚に直接伝わりやすくなったりする可能性があります。
エラスティックトラベルが大きい場合
ビンディングが一定範囲で動くことで、振動や衝撃を吸収・緩和しながら、ブーツを元の位置へ戻します。
これにより、アグレッシブなターンや変化の激しい雪面でも、不必要な解放を抑え、安定した保持性能を発揮します。
LOOK Pivotの優れたエラスティックトラベル
CAST Freetourシステムで採用されているLOOK Pivotなどのアルペンビンディングは、トゥピースに最大28mmの左右方向のエラスティックトラベルを備えています。
これにより、衝撃が加わってもブーツを保持しながら一定範囲で動き、不要な解放を抑えることができます。
重要なのは、ただ強く固定することではなく、必要なときには動き、解放すべきときには適切に解放すること。
これが、優れたビンディングに求められる性能です。

写真は、CASTが自社で保有する「WINTERSTEIGER Safetronic(ウィンタースタイガー・セーフトロニック)」試験機です。
ビンディングの保持性能を評価するための業界標準の試験機で、CASTではこの設備を使用して厳格なテストを実施しています。
安全性と滑走性能を高いレベルで両立したビンディングをお届けするために、徹底した品質検証を行っています。
3. バックカントリーにおける課題:テックビンディングとアルペンビンディング
バックカントリースキーでは、長年にわたって、登坂性能と滑走時の安全性の間で妥協が求められてきました。
一般的なピンテック式ツアービンディングは、軽量で登坂効率に優れる一方、滑走時の左右方向のエラスティックトラベルが非常に小さいものもあります。
そのため、ハードな滑走や硬い雪面での振動によって、トゥピースが不意に解放してしまうことがあります。
こうしたプレリリースを防ぐため、滑走時にもテックトゥのレバーをロックして使用するスキーヤーがいます。
しかし、ここには大きな問題があります。
テックトゥをロックして滑るリスク
テックトゥのロック機構は、基本的に登坂時にブーツが外れないようにするためのものです。
滑走時にロックすると、ビンディング本来の解放機能が制限され、転倒時にスキーが適切に外れなくなる危険があります。
その結果、膝や脚に過大な負荷がかかり、重大なケガにつながる可能性があります。
プレリリースを防ぐために解放機能を犠牲にすることは、安全性の面で大きなリスクを伴います。
この課題こそが、CAST Freetourシステム開発の大きな動機となりました。
パート3へつづく

