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バム商ブログ
2026/09/09 11:54

滑走性能
滑りを重視したスキーセットアップを考えるとき、多くのスキーヤーが時間をかけて選ぶのは、スキー板とブーツではないでしょうか。
もちろん、適切なスキーとブーツを選ぶことはとても重要です。
しかしAlpenFlowは、ビンディングもまた、滑走性能を左右する同じくらい重要な存在だと考えています。
滑走性能を左右するビンディングの役割
高い滑走性能を実現するために、ビンディングには大きく3つの要素が求められます。
① コントロールされた予測可能なリリース性能
滑走性能に優れたビンディングに求められるのは、滑っている間はブーツを確実にホールドし、転倒によってブーツに許容範囲を超える大きな力が加わったときだけ、適切に解放することです。
つまり、通常の滑走中はしっかり保持し、本当に必要な転倒時だけリリースする。
理屈はとてもシンプルです。
しかし実際には、市場にある多くのビンディングが「プレリリース(不意の解放)」という問題を抱えています。
② リリースする前に衝撃を受け止める衝撃吸収性能
ビンディングの滑走性能を評価するうえで、「エラスティシティ(弾性・可動量)」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。
これは、滑走中にビンディングがブーツを解放することなく、固定されたセンター位置からどれだけ動くことができるかを示すものです。
この可動域によって、細かな振動や衝撃を吸収し、瞬間的に大きな力が加わった際の「プレリリース(不意の解放)」を防ぎます。
もちろんエラスティシティは重要です。
しかし、それだけではビンディングの性能を十分に評価できるとは考えていません。
また、同じ可動量があっても、その性能がすべて同じとは限りません。
そこで、より適切な指標となるのが、「解放するまでに吸収できる総エネルギー量」です。
これは、ビンディングが動くことのできる「距離」だけでなく、その可動域の中で「どれだけのトルクに耐えられるか」も含めて評価する考え方です。
たとえば、大きなエラスティシティを持っていても、低いトルクで解放してしまうビンディングでは、十分なエネルギーを吸収することができません。
一方、より高いトルクに耐えながら可動できるビンディングは、より多くのエネルギーを吸収できます。
つまり、解放するまでに吸収できるエネルギーが大きいほど、プレリリースが起こりにくくなるということです。
③ ブーツからスキーへ、ロスなく力を伝えるパワー伝達
ブーツとビンディングの接点は、スキーヤーの力をスキーへ伝えるうえで非常に重要な役割を果たします。
高い滑走性能を引き出すためには、ブーツとビンディングの間にねじれに強い高剛性な接続があり、さらにスキーがたわんだ状態でも、その一体感が維持されることが理想です。
アルペンスタイルのヒールピースは、この点で非常に優れています。
ヒール、ブーツ、スキーをひとつのユニットのように機能させることで、ブーツからスキーへ効率よく力を伝達し、優れたパワー伝達性能を実現します。
つまり、優れた滑走性能を持つビンディングとは、
「確実なリリース」「エラスティシティ」「ダイレクトなパワー伝達」
この3つを高いレベルでバランスさせたもの。
スキーとブーツだけではなく、その2つをつなぐビンディングこそが、滑りの性能と信頼性を支える重要なパーツなのです。
では、ALPENFLOW 89は、この3つの要素をどのような構造で実現しているのか。
ここからは、その性能を支える独自のメカニズムを見ていきます。

LockTurn トゥピース
ALPENFLOW 89の大きな特徴のひとつが、独自の「LockTurn(ロックターン)」トゥピースです。
滑走モードでは、トゥピースそのものが自由に回転する構造になっています。
滑走中は、トゥピースが完全に回転するか、トゥレバーを押し下げるまで、ピンアームが開かないよう機械的にブロック。
これにより、通常の滑走中に不用意にブーツが外れることを防ぎ、転倒などリリースが必要な状況で解放する仕組みになっています。
つまり、単純に強い力でブーツを保持するのではなく、トゥピースの回転と機械的なロック機構を利用して、プレリリース(不意の解放)を防ぐのがLockTurnの特徴です。
一方、ツーリングモードではトゥピースの回転を固定。
登行中は安定した状態でブーツを保持し、信頼性の高い安定したツーリング性能を実現します。
滑走時は回転して、必要なときだけリリース。
登行時は回転を固定して、安定して保持する。
この独自のLockTurn機構が、ALPENFLOW 89の滑走性能とツーリング性能を支えています。

アルペン・ヒールピース
ALPENFLOW 89のヒールには、滑走性能を重視したアルペンタイプのヒールピースを採用しています。
横方向(ラテラル)と縦方向(バーティカル)の両方向において、ブーツのリリースを正確にコントロール。
大型スプリングと前圧調整機構を備え、さらに、
横方向:40mm
縦方向:9mm
という大きなエラスティシティ(弾性・可動量)を確保しています。
この十分なエラスティシティによって、滑走中に大きな衝撃や力が加わっても、すぐにリリースするのではなく、まずビンディングの可動域でそのエネルギーを吸収します。
そして、このヒールピースが目指したのは、単なる保持力の高さだけではありません。
高いパワー伝達と衝撃吸収性能を両立すること。
ブーツからの力をスキーへしっかりと伝えながら、スキー本来のフレックスを妨げず、板を自然にたわませることができます。
その結果、ハードな滑走でもスキーを正確にコントロールし、エッジ性能を最大限に引き出します。
大きなエラスティシティ。確実なリリース。そして、ダイレクトなパワー伝達。
ALPENFLOW 89が「ツーリングもできるビンディング」ではなく、本気で滑るためのハイブリッド・ビンディングであることを象徴するヒールピースです。

フル・リリース・システム
ALPENFLOW 89では、トゥピースとヒールピースが連動することで、正確でコントロールされたリリース性能を実現しています。
このシステムのポイントは、ヒールとトゥがそれぞれ独立してリリースするのではなく、互いに連動してブーツを解放することです。
ヒールがリリースをコントロール
滑走中、LockTurnトゥピースはロックされた状態を維持し、完全に回転するまではピンアームが開かない構造になっています。
そして、トゥピースを回転させるために必要な力(トルク)をコントロールしているのがヒールピースです。
転倒などによってブーツに加わる力がヒールのスプリングテンションを超えると、ヒールピースが横方向または縦方向への動きを許容します。
その動きによってトゥピースのロックが解除され、最終的にブーツがビンディングからリリースされます。
横方向と前方向、それぞれに対応
横方向へ大きな力が加わった場合は、ブーツとトゥピースが回転し、トゥピースが所定の回転量に達することでピンアームが開き、ブーツを解放します。
一方、前方へ大きく倒れ込むような力が加わった場合は、ブーツが前方向へ傾くことでトゥレバーを作動させ、トゥピースを解放します。
つまりALPENFLOW 89は、
ヒールが力を受ける → ブーツ/トゥが動く → LockTurnのロックが解除される → ブーツがリリースされる
という一連の動作によって、リリースをコントロールしています。
単純に「ピンでブーツを保持する」のではなく、ヒールのスプリングとLockTurnトゥピースを連動させ、必要なときに確実に解放する。
これがALPENFLOW 89独自のフル・リリース・システムです。

