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バム商ブログ
2019/08/15 23:58
8月10日
自分が香港国際空港に降り立ったとき、到着ロビーの一部をデモの参加者100名ほどが占拠していた。床に貼られたチラシがバリケードの代わり。早朝5時、大半は静かに寝ていた。
「血も涙もない催涙ガスの街へようこそ」
由由しき事態とはいえ、僕には関係ないことだと思った。他国の政治的なことだし。学生風の男性から手渡しされた日本語のチラシにも、今ひとつ共感できなかった。
「この”期待外れ”の香港を許してください」
深セン行きの長距離バスが出発するプリンスエドワード駅には空港からA21のバスで行く。
まずイミグレーションビルで出国手続きをしてから、入国する。特別行政区の香港から中国本土の深センに行くには。国際空港のそれと大差ない。乗り物が飛行機からバスになったくらい。そのバスも電気自動車が多い。タクシーと公共バスはほぼ全てだという。経済特区で大発展した街は今も建設中の高層ビルが目立つ。停滞する日本のスキーバムは驚くばかり。
8月11日
もっと驚いたのが目的地の広州市花都區。巨大な商業施設と新しいビルが整然と立ち並ぶ。こういった人工的な風景は、中国ではどこにでもあると思う。違うのは、屋内スキー場。今年6月にオープンしたショッピングモールの中にある融創雪世界(Sunac Snow Park)はとてつもなく広い。滑走コースは4本。ゴンドラ搬器もある。滑走面積は世界第2位。もちろん第1位も中国。大きさは力の象徴。成熟する日本のスキーバムは圧倒されるばかり。
バートン専門店。スキー用具は一切置いてなかった。
入場に1時間待ちの長蛇の列。
雪質も斜面も滑り応えある。
人工雪スラッシュターン!
8月12日
ルールは勝者がつくる。スキー場隣の人気ドリンク店に入って驚いた。日本のタピオカミルクティー現象と違って行列はない。並ぶ代わりに、QRコードを読み込んだスマートフォンで注文してWeChatで決済する。現金とクレジットカードは受け付けない代わりに、待機人数と時間がリアルタイムで知れるサービスを提供する。現地でインストールしたばかりのWeChatアプリに原因不明でサインインできなかった僕は結局、ここのシグネチャードリンク(フルーツティーにクリームチーズがのっている)を味わうことは叶わなかった。飲みたい意思とお金はあるのに。スマフォ決済はこの店に限ったことではない。貨幣経済大国のスキーバムは疎外感がつのるばかり。
8月13日
たぶん5分遅かったら、香港空港行きのバスに乗っていた。13日夜の帰国便がキャンセルになったとも知らずに。1時間前に航空会社のウェブサイトをチェックした時は大丈夫だった。帰れないと分かったとき、この時期の香港にきた自分に腹が立った。
たとえデモの若者がただの暴徒と変わらないとしても、自分に危害が加わらなければ良い事と思っていた。予定通り帰国できなくなって初めて、香港のデモは他人事ではなくなった。空港でもらった黄色のチラシの訴えがフラッシュバックする。
かといって、自分に特別な事ができるわけではない。香港の街で歩いたり食べたりするくらい。それだけでも「期待外れの」香港が好きになる。だから、滞在時間を増やそうと思った。どうせ、直近の帰国便は満席ばかり。
8月14日
いまさらながら、中国の今を知った。もっと早く来たら良かった。中国を知らないスキーバムは多いと思う。そこで、バム商セッション@チャイナを思いついた。
応じるスキーバムはいないと思う。セッション参加者なしでも、ひとりで滑りに行こうと思う。
援護がないのは、彼らも同じ。違うのは置かれている社会。中国の今を知ったスキーバムとして、彼らが「取り戻そう」としているものに共感できる。でも、僕はそのために山の中で命を賭ける気は全くない。つきつめれば、スキーは暇つぶしでしかない。キャリアも人生もつぶれない。彼らが「絶対に渡さない!」というもの。日本のスキーバムにもある。気がつかずに横滑りしてるなら、縦読みしてみて。